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【5分でわかる】解説「公図」「14条地図」「地積測量図」とは?

このページでは、不動産取引(特に売買取引)を行う際、必ず目にするものの資料の1つ、「公図・地図」「地積測量図」について、誰でもわかりやすく・詳しく解説しています。

【5分で完ぺき理解!】この記事でわかること
  • 「公図」「地図」「地積測量図」とは何か?がわかります。
  • 「公図」「地図」「地積測量図」の違いや、その種類がわかります。
  • 図面の請求方法も解説。
  • 不動産売買取引においては重要な書類の1つになっているので、しっかりと把握しておきましょう。
目次

地図・公図とは

一般的な地図との違い

一般の方が普段目にする地図(日本地図やGoogleマップなど)は、住宅や施設、道路等の位置や方向、あらかたの形状が表示されたものが一般的でしょう。

しかしここで言う「地図(または公図)」とは「法務局」に備え付けられている図面を指し、普通の地図とは異なります。

法務局に備えられている「地図(または公図)」は、土地の位置や形状を把握するための地図で、一般の地図のように道路や施設名が把握・区別できるものではありません。

公図とは?
法務局の地図

一般的に言われる登記簿謄本(全部次項証明書)は、土地の所在や地目、地積・所有者情報・権利情報等は記載されています。しかし土地の位置や形状は記載されておらず把握することはできません。

そこで大きな役割を果たすのが「地図(公図)・地積測量図」です。

地図(公図)・地積測量図の役割り

地図・公図は位置や形状を把握するだけでなく、隣接している地番や、地番から所有者を把握するためにも利用されていますし、地積測量図は、対象土地の詳細な形状や距離・面積等を把握するために利用されています。

地図・公図は土地の位置や形状、地番から所有者を把握するためにも利用されています。
測量図は詳細な形状や距離、面積を把握するために利用されています。

現地では1つの区画に見える土地であっても、実際に法務局で「地図(または公図)」を取得すると、1つの区画が複数に分かれていることも多々あります(それらを「筆」と呼んでいます)。

たとえば住居表示では「⚫︎⚫︎町10番地」であったとしても、法務局の地図では「⚫︎⚫︎町10-1」「⚫︎⚫︎町10-2」「⚫︎⚫︎町10-3」と何筆にも分かれていることが少なくありません。

ですから地図・公図は、位置や形状の把握だけでなく、対象土地の範囲(たとえば不動産売買取引をおこなう際は、どこまでが売買対象地域か)を把握したり、隣接者は誰なのかを把握するために、絶対に必要な資料となります。

そして現在、法務局の地図(公図)は「地図」と「地図に準ずる図面」の2種類に分かれています。

地図(14条地図)とは

不動産登記法第14条に基づいた地図を指し、一般的に「地図」と呼ばれています。土地の面積や距離,形状,位置について精度が高い地図です。

公図・地図14条

14条地図となる要件は、地震や津波など自然的要因や、破壊行為などの人為的要因によって、土地の境界が不明になった場合においても、地図から逆に現地での境界を復元することができることが求められます。

よって、測量法による厳密な測量に基づいて作成された地図として法務局に備えられ、「地図」として分類されます。

地図に準ずる図面とは

地図に準ずる図面」とは,一般的に「公図」と呼ばれています。

古くは明治時代の租税徴収のために作成されたものであり、測量技術の未発達な時代に作成された地図ですから精度や正確性は低いです。よって、実際の形状と大きく異なっている場合や、隣地との整合性が合わない場合(公図混乱地域)も珍しくありません。

このような背景から、平成15年から国土交通省が法務省などと協力し、正確な図面の作製をおこなうよう進められています。不動産登記法による14条地図が備え付けられるまでの間,これに代わるものとして法務局に備え付けられている図面を「地図に準ずる図面」として分類されます。

地図・公図の見方

どこまでが取引の対象範囲か

たとえば「京都市**区**町14番地1」を調べたいときは、法務局またはインターネットから公図を取得します。すると以下のような図面を取得することができます。

公図の見方

住居表示が「14番地1」であっても、公図を見てみると「14-1」だけでなく「14-2」も表示されています。「14-2」の所有者は誰なのか、ここではわかりません。そこで謄本(全部事項証明書または所有者事項証明書)を取得して、所有者を調べることになります。

たとえば、もし「14-2」も売買対象部分であって、それを知らずに「14-1」だけ売買してしまうと、とんでもないことになってしまいます。他にも「14-1」の周辺の地番(筆)と所有者も調べ、どの地番(筆)までが対象になっているのか調べるわけです。

下部表記の意味

①請求区分

所在と地番が表記されている部分です。売買される方なら、対象不動産の所在と地番が記載されたものを請求・取得することになります。

②出力尺度

縮尺です。1/500や1/600など様々な縮尺で表記されています。「なぜ縮尺が統一されていないのか?」という疑問に対しては、図面の書類(14条地図か公図か?対象不動産の地域(市街地なのか山林か)などによって異なります)。

旧土地台帳を根拠とする「地図に準ずる図面」、つまり公図は1/600の尺度が多いです。これは明治時代の「尺・寸」の測り方(尺貫法)の名残りです。当時はミリやメートル単位ではなく「1間(1.818m)=6尺=60寸=600分」単位でした。よって公図と実際の土地との誤差は大きいです。

③精度区分

記載の図面には表記されていませんが、表記されている場合の精度区分は「甲1」〜「乙3」まであります。「甲1」が1番精度が高く、誤差が少ないとされています。

  • 甲1・・・公差6cm/主に大都市圏の市街化地域
  • 甲2・・・公差20cm/主に中都市圏の市街化地域
  • 甲3・・・公差45cm/上記以外の市街地、部落
  • 乙1・・・公差75cm/農地・その周辺地域
  • 乙2・・・公差150cm/山林・原野・その周辺地域
  • 乙3・・・公差300cm/山林・原野の区域

④座標系番号又は記号

座標系番号は「Ⅰ(1)」〜「XIX(19)」まであります。地域によって分かれており、上記図面の京都府は「Ⅵ(6)」に該当します。

参考:平面直角座標系(平成十四年国土交通省告示第九号)

⑤分類

「地図」または「地図に準ずる図面」として表記されています。「地図」は精度が高く「地図に準ずる図面」は精度が高くないことは先述の通りです。

⑥種類

この図面は何を根拠としているか?が示されています。「地図」の場合は主に「地積図」「土地改良」「土地区画整理」などを根拠として表記されるケースが多く、「地図に準ずる図面」の場合は主に「旧土地台帳附属地図」を根拠として表記されます。

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地積測量図とは

地積測量図は、指定の土地の面積や距離などがわかる詳細な図面です。

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公図と地積測量図の違い

「公図」は土地の位置、形、番号、お隣の土地との位置関係が記された図面で、面積や距離は書かれていません。

一方「地積測量図」は、地積(土地の面積)や、隣地との境界の距離、境界の標識等が記された図面です。個々の土地の詳細を把握する場合は地積測量図で確認します。

本来、公図と地積測量図が生まれた背景・目的は異なります。公図はもともと地租(税金)を取るために明治時代に生まれた図面です。一方で地積測量図は土地の登記申請をおこなうために生まれた図面です。

ざっくり言うと
  • 公図は土地の位置を把握するため。
  • 地積測量図は土地の範囲を把握・正確な距離や面積を把握するため。

以上のような背景もあり、登記簿上の面積と実際の面積が異なっていることも多々あります。そのために地積測量をおこなって正確な面積等を把握し、不動産取引をおこなうことが望ましいと言えます。

但し、地積測量図のすべてが正確なわけではありません。作成された年月や作成方法によっては正確性に欠けるものもありますので注意が必要です。以下、年代別の地積測量図の特徴をお伝えします。

縄伸び・縄縮みとは?
  • 「登記簿面積 < 実測面積」を縄伸び
  • 「登記簿面積 > 実測面積」を縄縮み と呼びます。

昭和36年(1961年)〜昭和52年(1977年)の地積測量図

地積測量図は昭和36年頃から作成されはじめました。ですが現在の測量技術に比べると精度が良くありません。

多くは「坪」や「間」表記されているものも多く、信憑性に欠ける図面が多いのが特徴的です。

昭和52年(1977年)〜平成5年(1993年)の地積測量図

この時代になると金属プレートやコントクリート杭などの境界票を記した図面が多くなりました。また測量技術も上がり(平板測量からトランジット測量)、測量の精度も高くなっています。

但し、境界票が記してあっても、境界確定された境界票でない場合も多く、隣地の立ち会い・署名捺印がなくても図面を作成できたため、信ぴょう性の低い図面も多々あります。

平成5年(1993年)〜平成17年(2005年)の地積測量図

この時代から測量の精度が格段に高くなりました。分筆登記や地積更生登記をおこなう際は、隣地所有者の署名捺印が必要になり、境界確認書を添付することとなりました。

よって、境界確認がなく地積測量図が法務局に提出されることは基本的になくなりました。

平成17年(2005年)〜現在の地積測量図

この時代は測量法も大きく変わり、三斜法から座標法に変わっています。測量方法についての詳細は割愛しますが、地積測量図をもとに、現地で境界を復元する技術が高まっています。

地積測量図はコンピュータ化され、地積測量図の改ざんや紛失の心配もなくなりました。またインターネットから地積測量図をダウンロードできるようにもなっています(有料)。

測量図の名称・種類

不動産売買をおこなう際、重要事項説明書や売買契約書に測量図が添付されていることがほとんどだと思います。

ですが一般の方の中には「測量図=境界がハッキリしている図面」と勘違いされている方も多く、曖昧な説明しかなされない不動産営業マンも多いので注意が必要です。

地積測量図

「地積測量図」とは法務局に備え付けられている図面のことを指します。法務局に備え付けられているからと言って、地積や境界が確定された図面とは限らず、すべての図面が正確とは言えません。

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境界や地積を確定させるためには別途、確定測量図や境界(筆界)確認書が必要です。売買される際には確定測量図・境界(筆界)確認書の有無を確認しておきましょう。

また、すべての土地において地積測量図が備えられているとも限りません。法務局に地積測量図が保管されているかどうかは、管轄法務局で尋ねる必要があります。

確定測量図

確定測量図(境界確定図)とは、全ての隣地所有者の立会いを得て境界確定されたもの(官有地に接する場合は、官民査定手続も経たもの)をいいます。境界が確定されているため、地積も正確に把握することができます。

但し、確定測量図の申請人や、境界確認書(筆界確認書)の名前が所有者(売主)の名前になっていない場合、どのような引き継ぎがなされているかを確認しましょう。境界確認書(筆界確認書)が次の所有者にも承継されなければ、不動産売買取引に支障をきたす可能性があります。

現況測量図

現況測量図とは、隣地所有者の立ち会いがされていない(ということは境界が確定されていない)測量図です。

土地の所有者が隣地所有者の立ち会いをすることなく「ここが境界だ」と申請人が指定したうえで測量がされているため、地積や境界を主張するための根拠にはなりません。

求積図

土地の面積を求めるための図面の総称として呼ぶことが多いです。ただ単に「求積図」と書かれているものは、公的資料ではなく社内資料として作成されていることが多いです。

地積測量図

筆界と境界の違い

「筆界」とは公法上に基づく土地の範囲を区画する線です。「筆界」は“真の境界”と言われ、当事者間で合意して定めることはできません。

一方で「境界」とは主に所有権の範囲を定める線を指し、当事者間で自由に定めることができます。

よって、筆界と境界(所有権界)は一致することもあれば、異なることもあります。異なる場合、筆界と所有権界と2種類の境界が存在することになります。

※法務局より抜粋

「筆界」とは、ある土地が登記された時にその土地の範囲を区画するものとして定められた線をいいます。したがって、所有者同士の合意等によって変更することはできず、分筆や合筆の手続をとらない限り、変動することはありません。これに対して 「境界」という語は、所有権の範囲を画する線という意味で用いられることもあり、その場合には筆界とは異なる概念となります。

土地は通常一筆を単位として取引されますが、一筆の土地の一部についても、時効取得することや譲渡をすることが認められていますので、筆界に変動がなくても、所有権の帰属は変更されることがあります。したがって、筆界は所有権の範囲と一致することが多いのですが、一致しないこともあります。 ※法務局より抜粋

筆界・境界が不明・定まらない場合

筆界が不明な場合は筆界特定制度によって筆界を明らかにすることができますが、筆界特定制度によって筆界が確定しても境界標を設置することはできません。なぜなら所有権界を示すものではないからです。

筆界特定は、筆界登記官が過去に存在していて不明になっていた筆界を特定するもので、所有権界を特定するものではなく、必ずしも「筆界=境界」とはなりません。よって、所有者がその筆界と異なる境界を主張した場合、境界確定訴訟によって新たに筆界を確定することになります。

境界確定訴訟は、境界を確定させることが目的なので勝訴・敗訴はありません(和解・調停は可)。但し境界確定訴訟は、資料や費用・時間に多大な労力を要するため、早期の解決をはかるために筆界特定制度ADR境界問題相談センターが設けられました。

筆界特定制度は、専門家によって筆界が特定されているため証拠能力が高く、境界確定訴訟においても筆界特定の結果が重要な証拠資料として扱われているようです。そのことから、境界が不明な場合や隣接所有者が立ち会いに協力してくれない場合は筆界特定制度を利用する価値は十分にあるでしょう。

※境界非明示特約は信義則違反の可能性?

売買契約において、「境界非明示特約」を付加する場合は、注意が必要です。例えば、敷地境界の非明示による不動産取引で、後日、隣地が1.0m幅の敷地越境の事実が判明した場合、売主は、買主から損害賠償請求を受ける可能性があります。また、仲介業者も不真正連帯債務として損害賠償請求される可能性があります。

 過去の事例では、「契約の一方当事者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠償責任を負う」(平成23年4月22日、最高裁)としています。

 民法第1条の信義則上の義務に違反した境界非明示取引による買主の損害に対しては、売主側に不法行為責任による損害賠償請求が行われ、20年間の時効により責任が加重される可能性があるため、注意が必要です。

※不動産調査職人エスクローツムラより抜粋

図面の請求方法

対象土地を管轄している法務局へ出向けば取得できます。対象土地がどの法務局で管轄しているのか不明な場合は、電話して聞きましょう「京都地方法務局管内法務局一覧」。

他にも「登記情報提供サービス」というオンラインからの取得も可能です。操作方法については多少コツが必要です。煩わしい方は法務局へ出向き、係員の方に尋ねながら取得された方が確実です。

まとめ

公図・地図とは
  • 取引対象の土地の位置を把握するための図面。
  • 「地図」(14条地図)は正確性や再現性が高い。
  • 「公図」は正確性や再現性は低い。
  • 但し、どちらの図面においても、土地の位置や隣接地を把握をするためにも必要な図面。
地積測量図とは
  • 地積測量図は土地の面積や距離等の範囲を把握するための図面。
  • 但し、確定測量図以外の測量図は境界が確定されていないことがほとんどなので注意が必要。
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