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戸建て売却で建物の評価が大きく下がってしまう理由

不動産を売るならできるだけ高く売りたいですよね?そこで今回は「戸建売却」を中心に、建物の評価が下がる要因や、できるだけ建物の評価を上げ、高く売る方法についてお伝えしたいと思います。戸建てを売却される方は必読の内容です。

今回の記事で知れること
  • 建物の評価が下がる5つの要因
  • 建物の評価が厳しくなった背景
  • コレを知らずに売却すると損害賠償対象に
  • 売主側の責任が重くなった理由
  • 安全な取引をするために必要なこと
目次

建物の評価が下がってしまう5つの要因

このセクションでは「建物の評価が下がってしまう主な5つの要因」についてお伝えします。

築年数が経過していると、それだけ建物の評価は下がってしまいがちです。というのも「耐用年数」を基に査定評価しているケースがほとんどだからです。

戸建てはマンションと比べ「耐用年数」が低く設定されています。耐用年数とは簡単に言えば「長期にわたり反復使用に対して、経済的に耐えれる年数」です。

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構 造耐用年数
木 造22年
鉄骨造(厚さ3mm以下)19年
鉄骨造(厚さ3mm超〜4mm以下)27年
鉄骨造(4mm超)34年
鉄筋コンクリート造(RC造)(SRC造)47年
参考:国税庁

上記の一覧表のように、木造住宅はRC造のマンションと比べて耐用年数が低く設定されています。またハウスメーカーが使用する軽量鉄骨造においても19〜27年と、RC造に比べて耐用年数が低いです。

主に建物評価で使われる原価法(新築価格から経過年数分を減価して算出する査定法)は、この耐用年数を参考にするケースが多いので、建物の価値が大きく下がってしまうのです。

あるアンケートによれば、木造で築20年以上経過している建物については「評価ゼロ」で査定している不動産会社が8割以上という結果になっています。

経済耐用年数は「法定耐用年数」や「経済耐用年数」などの設定があり、「経済耐用年数」の方が長期設定されています。ですが、一般的に「法定耐用年数」を基に査定しているケースが多いように感じます。

耐用年数を経過しているからと言って、必ずしも評価がゼロになるわけではありません。一方で、耐用年数が経過していなくても状態が良くなければ評価ゼロになるケースもあります。

実際は耐用年数に関係なく、施工品質・メンテナンスの状態・需要度等によって価値は変化します。建物の評価を詳しく算出したい場合は、専門家の診断を含めた現地・訪問査定が必須です。簡易査定や机上査定では、実際の評価と大きく乖離してしまうケースが多々あります。

分譲マンションであれば、修繕積立金によって、定期的に外壁や設備等のメンテナンスがされることが一般的ですが、戸建て住宅はメンテナンスされずに放置されている物件が多く散見されます。

  • 外壁や基礎のひび割れ
  • 内壁のひび割れ
  • 屋根の劣化
  • 設備の故障・老朽化など

メンテナンスをしないということは、建物の劣化も進みます。軽度な劣化なら許容範囲ですが、中には劣化を放置してしまったことで、修繕に大きな費用がかかってしまうような物件も存在しています。

たとえば、

  • 外壁のクラックやコーキング劣化、屋根材の劣化によって雨水が侵入し、木部が腐ってしまっているケース
  • 水回り設備の故障を放置しておくことで水漏れが発生、床下の湿気でシロアリやカビが発生してしまっているケース
  • バルコニーの防水層が劣化して雨水が侵入し、雨漏れが発生してしまっているケースなど

このようなケースが物理的瑕疵に該当するケースが多く、建物評価がゼロになってしまう場合も少なくありません(その理由は後述)。修繕に費用がかかればかかるほど、その分、建物の評価は実質マイナス評価になってしまうからです。

たとえば、通常の建物評価が1,000万円に対して補修に500万円を要するとすれば、建物評価は実質500万円となってしまいます。補修に1,000万円以上かかるとすれば、むしろマイナス評価です。ゼロ評価からさらに建物解体費用を差し引いて売却するケースも少なくありません。

戸建て住宅はマンションと比較して、建築された年代、設計、施工業者によって品質にバラつきがあり、中には検査を受けていない建物も多く存在しています。

  • 新築戸建てには8割施工不良があるby さくら事務所
  • 建売住宅のうちおよそ8割は、筋交いや耐力面材の施工など、構造面に欠陥を抱えている。by 日本建築検査研究所

このように住宅の品質が向上したと言われている現代においても、多くの住宅診断士が「施工品質」について指摘している現実があります。

今でこのような状況ですから、10年前、20年前の戸建て住宅の品質が安定しているとは到底言えません

事実、住宅診断をおこなうと、外見はどうもなくても、シロアリや床の傾きなどの「瑕疵」や、老朽化による「劣化事象」が発見されることが多々あります。

瑕疵とは?

一般的に「通常の品質や性能・機能を欠いているもの」を指します。たとえば、建物で言えば「シロアリの発生・木材や鉄骨材の腐朽・床や柱の傾き・基礎のひび割れ」など、土地で言えば「土壌汚染や軟弱地盤」などです。

これらは物理的瑕疵と呼ばれ、他にも心理的瑕疵・法律的瑕疵・環境的瑕疵・契約瑕疵などがあります。詳しくはコチラもご参照下さい。

建物の瑕疵と劣化の違い

瑕疵とは一般的に建物を建築した際に施工不良などによって既に存在する欠陥であるのに対し、劣化は年数が経つことによって進行していく事象です。

基本的に瑕疵と劣化は別の扱いですが、経年変化やメンテナンス放置、外的要因によって瑕疵化するケース(シロアリの発生や地震による傾き等)もあり、明確に線引きするのが難しい場合も多々あります。

中には築浅建物であっても、耐震金物不足や、壁内結露によって発生しているカビなど、施工不良によって発生したと考える瑕疵(結露は瑕疵と認定されない場合が少なくありませんが…)も少なくありません。

このように瑕疵の可能性が高い物件は評価が著しく低くなってしまいます。特に経済面・物理面で修繕が困難な物件(建物)は「ゼロ評価」をする不動産会社が多いです。

もちろん品質がしっかりしている建物も多く存在しています。それらは実物を目視して検査してみないとわからないのです。

違法建築物とは、主に建築基準法に違反している建物です。たとえば建蔽率や容積率を無視して目一杯建物が建てられているケースがこれに該当します。

建築確認申請を提出し、建築確認とは異なる建物を建て、検査を通さずにお客様に引き渡す。日本では平成初期くらいまで、このような行為が当たり前のように行われていた背景があります。

特に地価が高かった時代は、狭い土地に3階建の木造住宅を建てて分譲するケースが多く見受けられました。これらの多くが違法建築物です。つまりひと昔前は「質より量」の時代だったわけです。

そして金融機関もその違法建築物に対して住宅ローンをジャンジャンと借しつけていました。ですが現在は違法建築物に対しては「コンプライアンス違反」として、住宅ローンの審査が通らなくなっています。

住宅ローンが借りられないとなると、現金で購入してくれる人しか買手になりません。ですから需要が極端に減ってしまいます。需要が極端に減れば価格が下がるのも当然です。

このような物件は、貸家として投資家が安く購入するケースがありましたが、最近は投資家でも「違反建築物」を毛嫌いする傾向にあります。

買手が現れなければ、買手が現れるまで待ち続けるか、建物を解体せざるを得ない状況になります。しかし土地の面積が小さい物件は、建て替えしても満足のいく広さを確保できませんから、土地の価格も下がってしまうわけです。

私は建物を見れば、だいたいどの年代に建築されたかがわかります。というのも、その時代の流れに沿った建物が建てられているからです。

たとえば昭和中〜後期の住宅は、和風建築で瓦葺きにモルタル外壁が主流でした。平成に入ると屋根材がカラーベストに変わり、外壁にサイディングが使われるようになりました。もちろん工法も違います。基礎は布基礎からベタ基礎に、耐震補強のために金物も多く使われるようになりました。

このように、デザイン・外観・材質・設備・間取り・工法が時代によって変化しています。そしてそれらが時代のニーズでもありました。ということは、ひと昔のデザインが今のニーズに合っていないとも言えます。

これらが建物の価格評価を下げてしまう大きな要因の1つになっています。

現代の住宅ニーズは実に多様化しています。特に若い夫婦世帯となると、流行りや機能性・デザイン性を強く求める傾向にあります。

建物評価がシビアになった背景

建物に対する査定評価は年々厳しくなってきています。このセクションでは、その理由をお伝えしています。

今までの建物の評価は、原価法(新築価格を計算し経過年数によって減価する査定法)や、取引事例(近隣の類似物件の取引事例を参考に査定する方法)を基に算出されることがほとんどでした。

ですから簡易査定や机上査定で売却査定価格が簡単に算出できていました。しかし近年は簡易査定や机上査定だけでは建物の査定ができにくくなっています

もちろん原価法や取引事例法の査定手法を使うのですが、それらに加え、

  • 本来建物が通常有すべき性能・品質・機能が備わっているか
  • 買手の目的が達成できるかどうか

という判断をおこないます。

というのも2020年4月に民法が大きく改正され「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変わったからです。

瑕疵担保責任と契約不適合責任。これらの違いを理解して頂くためには時間が必要ですし、このページだけでは解説しきれません。ですからザクっとした表現で説明したいと思います。

今までの取引においては「売主は、契約で定められた物件そのものを引渡せばよい」と考えられていました。そのため、物件がどのような状態であっても、売主は引渡しさえすれば、あとは責任を負わなくてよいものと理解されていたのです。

ですから不動産売買契約書には「現状有姿取引」という文言が不動産売買契約書に多く記載されていました。

しかし、それでは買主にとっては不利益です。そこで買主の一定の保護をおこなうことになりました。それが瑕疵担保責任です。「買主は、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときには、契約の解除や損害賠償の請求ができる(改正前民法第570条)」

民法改正前の「瑕疵担保責任」は、買主や売主でも知り得なかった瑕疵を発見した場合において、買主が売主に対して責任の追及をおこなうことができました。

逆に言えば、買主が認識している瑕疵については、売主に責任を追及することはできなかったのです(売主が瑕疵を知っていて買主に告げなかった場合は不法行為責任となります)。

一方、民法改正後の「契約不適合責任」は瑕疵が隠れていようが隠れていまいが関係ありません。買主がその瑕疵を認知していても、通常有すべき性能や品質、機能が備わっておらず、かつ買手の目的が達成できない場合は、売主が債務不履行責任を負います。

たとえば住宅の場合、屋根が劣化していて、雨漏りが発生している状況であれば、屋根としての機能が備わっていませんし、雨漏りしている住宅は普通住み続けることはできません。

ですから、居住するという目的(性能や品質・機能)が備わっておらず「契約の内容に適合していない」という判断がされてしまうでしょう。

民法改正前の「瑕疵担保責任」においては、その雨漏りが「隠れている瑕疵(売主や買主も発見できなかった場合)」のみ責任が追及できました。

しかし民法改正後の「契約不適合責任」では、その雨漏れについて買主が予め知っていて契約をしても「やっぱり家として住み続けることはできないよね」となれば、売主に責任を追及できてしまうのです。

そして売主は、買主の請求に応じて「修補」「代金減額」「損害賠償」「契約解除」に対応しなければなりません。つまり、瑕疵の可能性が高い建物を売買することじたい、売主様にとってリスクが高いものになってしまったのです。

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項目瑕疵担保責任(法改正前)契約不適合責任(法改正後)
責任の対象隠れた瑕疵契約に適合していない事実
買主が請求できる権利損害賠償
契約解除
損害賠償
契約解除
追完(修補等)
代金減額
権利行使方法瑕疵を知ってから1年以内に請求不適合を知ってから1年以内に通知
時効権利を行使できるようになってから10年権利を行使できるようになってから10年
債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき
瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い

ですから、そのようなリスクを避けるべく、瑕疵の可能性が高い建物に対しては、基本的に「評価ゼロ」または「瑕疵が無い状態にまで補修した場合の費用を差し引いて」査定・売買することが増えてきています。

トラブルを回避し 少しでも高く売る5つの方法

インスペクションを利用する

民法改正前は「隠れたる瑕疵」(売主が知り得なかった瑕疵)について、責任が問われるかどうかの判断でした。

しかし民法改正後は、目に見える瑕疵であっても、隠れている瑕疵であっても、通常有すべき性能や品質、機能が備わっておらず、買主の契約目的を達成できない場合は、契約不適合責任が問われてしまう可能性があります。

ですからまずは瑕疵が存在するかしないかを判別していく必要があります。瑕疵については物理的瑕疵・心理的瑕疵・法律的瑕疵等、さまざま瑕疵が存在していますが、今回は建物がテーマですので、建物にフォーカスしていきます。

建物の瑕疵を把握するにはインスペクションがオススメです。インスペクションとは「住宅に精通した住宅診断士(建築士等)が、目視や計測などを用い、第三者的な立場から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所等を診断・助言をするものです。インスペクションは「住宅診断」「建物検査」「建物現況調査」とも呼ばれます。

インスペクションは売主側でおこなうのが望ましいとされていますが、売主様の経済的な状況や、不動産売買取引の風習、さまざまな事情などから、買主側の費用負担でインスペクションをおこなうケースも多々あります。

建物インスペクションの主な調査項目(戸建て)

【①構造耐力上の安全性に問題がある可能性が高いもの】

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対象部位等検査対象とする劣化事象等検査方法
小屋組、柱・梁、床、土台・床組等の構造耐力上主要な部分・構造方式に応じ、木造にあっては蟻害・腐朽が、鉄骨造にあっては腐食が、鉄筋コンクリート造にあっては基礎において検査対象とする劣化事象等が生じている状態/・著しい欠損や接合不良等が生じている状態目視・触診・打診・計測
床、壁、柱・6/1,000 以上の傾斜が生じている状態(鉄筋コンクリート造その他これに類する構造を除く)計測
基礎・コンクリートに幅 0.5 ㎜以上のひび割れ又は深さ 20 ㎜以上の欠損が生じている状態/・鉄筋コンクリート造で鉄筋が腐食している可能性が高い状態(錆汁の発生)や腐食する可能性が高い状態(鉄筋の露出)目視・計測
国交省インスペクションガイドラインより

【②雨漏り・水漏れが発生している、又は発生する可能性が高いもの】

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対象部位等検査対象とする劣化事象等検査方法
外部(屋根・外壁)・屋根葺き材や外壁材に雨漏りが生じる可能性が高い欠損やずれが生じている状態/・シーリング材や防水層に雨漏りが生じる可能性が高い破断・欠損が生じている状態目視
外部(屋根に面したサッシ等)・建具や建具まわりに雨漏りが生じる可能性が高い隙間や破損が生じている状態/・シーリング材や防水層に雨漏りが生じる可能性が高い破断・欠損が生じている状態目視
内部(小屋組・天井・内壁)雨漏り又は水漏れが生じている状態(雨漏り・漏水跡を確認)目視
国交省インスペクションガイドラインより

【③設備配管に日常生活上支障のある劣化等が生じているもの】

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対象部位等検査対象とする劣化事象等検査方法
給水管(給水管・給湯管)・給水管の発錆による赤水が生じている状態 /・水漏れが生じている状態目視・触診・通水
排水管・排水管が詰まっている状態(排水の滞留を確認) /・ 水漏れが生じている状態目視・触診・通水
換気ダクト・換気ダクトが脱落し、又は接続不良により、換気不良となっている状態目視
国交省インスペクションガイドラインより

この中でも特に「①構造耐力上の安全性に問題がある可能性が高いもの」について該当する場合は、瑕疵の可能性が高いと判断されます。

劣化事象等の把握

次に瑕疵以外で契約に影響を及ぼしそうな事象がないかをチェックします。

契約に影響を及ぼすと考えられる情報を開示する

したがって、瑕疵に該当しそうなものや不具合事象は、詳細に買主側に伝える必要があります。そのうえで買主が納得し、契約書にその旨を記載すれば、いくら瑕疵があったとしても値段をつけることも可能です。

但し、価格以上の大きな損害が発生した場合は、いくら契約不適合免責契約を交わしても、損害賠償は免れない場合がありますので注意が必要です。そのためにも、積極的に「契約の判断に影響を及ぼす情報」は開示していく必要があります。

既存住宅売買瑕疵保険に加入して売り渡す

物理的瑕疵が存在しない場合、既存住宅売買瑕疵保険に加入できる可能性があります。

容認事項の擦り合わせをおこない契約不適合免責特約をおこなう

契約不適合免責特約とは、たとえば物件の瑕疵などによって、契約の内容に適合しない事象が生じても、売主はその責任を負わない内容の特約のことをいいます。

売主が事業者・買主が個人の場合は、宅建業法または消費者契約法により免責特約は無効になります。

契約不適合免責が無効になるケースもあります。それは

  • 売主が知っていたのに、契約に影響を及ぼす内容を買主に告げなかった場合。
  • 売主が調査をすれば容易に知り得た情報で買主の契約に影響を及ぼす内容を告げなかった場合。

です。

この特約は売主にとってはメリットですが、買主にとってはデメリットです。一方的に契約不適合免責特約を付与すれば、買手が制限される恐れも出てきます。また購入候補が現れても、見えないリスクがあればあるほど値引き交渉が起きる可能性があります。

リスクの高い取引をさせる不動産会社には依頼しない

中には何の調査もおこなわず、一方的に「契約不適合免責特約」を指示する不動産会社も存在します。ですが、それは危険な行為です。契約不適合免責契約をおこなっても、裁判で敗訴する可能性が高いです。

安易に「契約不適合免責特約」を付与しないよう、事前に情報調査をおこない、売主様がリスクに晒されないよう、擦り合わせをしっかりとおこなってくれる不動産会社に依頼すべきです。

まとめ

売主の説明義務違反は不法行為

売主側の責任が重大になった理由として、下記の判決が大きな影響を受けています。

契約の締結に関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合は、債務不履行責任ではなく不法行為責任 大阪高裁

つまり、買主が「これだったら購入していなかった」という情報を、売主が買主に提供しなかった場合、不法行為責任に問われてしまうということです。

厄介なのは不法行為責任の時効は20年だということです。つまり「これだったら購入していなかった」という情報を提供しないまま売却してしまえば、20年間は損害賠償のリスクを負うことになってしまいます。

ですから今は昔とは異なり「売り逃げ」もできず「売ったら終い」の時代ではなくなったのです。ということは、売主は、不動産売却に関して積極的に情報提供に努めなければなりません。

そのためには重要事項説明書・売買契約書だけでなく「不動産情報告知書」等を用い、買主に情報を提供する必要があります(詳しくは担当の不動産会社にお尋ねください)。

高く売ってもトラブルになれば意味がない

瑕疵の可能性が高い建物を売買することは、売主様にとってリスクにつながります。ですから建物を解体して更地にして売却を勧める不動産会社も増えてきました(建物がニーズにマッチしてないという面も大きいですが)。

一方で、築年数が経過していても、違反建築になってしまっていても、瑕疵化して、大きなメンテナンスが必要になっていても需要の高い建物もあります。

その典型が「町家」です。町家は今や日本建築の象徴として、日本の文化の象徴として、再注目されています。特に国内外問わず観光客に人気です。風情ある外観だけでなく、素材へのこだわり、間取りの工夫や手間のかけ方などが再評価されているのです。まさに建物界のビンテージです。

ですから耐用年数が経過しているからと言って、メンテナンスが必要だからと言って、一方的にゼロ評価をすることなく、需要度も考慮し、総合的に勘案して建物を評価すべきだと私は感じています。

どちらにせよ、売主様に大きな負担がかかっていることは間違いありません。より高く売却することは大切ですが、売却後にトラブルになっては意味がありません。リスクを抑えた、安全な取引のサポートをしてくれる不動産会社に依頼しましょう。

参考記事

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